2015年3月25日
歯に対する誤解が不満を生む
もしあなたが『痛いから、詰め物が取れたから、歯科医院へ行って治してもらったらいい』と思っているのであれば、今後どの歯科医院に行っても、もう満足することはできないでしょう。
「なぜ治療に何回もかかるの?なぜ1回で終わらないの?」
「治療が終わったのに、なぜまた検診に来てくださいと言われるの?」
「なぜ行った日にすぐ診てくれないの?なぜ予約制なの?」
「なぜ、治療したところが悪くなるの?」
こうした、歯科に対するさまざまな疑問や不満がたくさんあると思います。ですがその多くは『日本人が歯について誤解をしている』ことが疑問や不満の原因となっています。
医科と歯科では、治療に対する考えがまったく違う
・鼻水が出るから耳鼻科へ行って治してもらおう
・目が腫れているから眼科へ行って治してもらおう
・カゼをひいてしんどいから内科へ行って治してもらおう
『何か症状が出たから、病院に行って治してもらおう』こんな感じで歯科に行こうとするので、先ほどの疑問や不満が生まれるのです。
多くの方は『治療=元どおりになる』と思っているでしょう。ですが、歯科の場合は『治療≠元どおりになる』なのです。治療をしても、元どおりには決してなりません(『治療=元どおりにはならない』)。
歯科での治療は『治療≒修理』が正しい
虫歯になって「絆創膏を貼って、じゃあ治るまで待ちましょう」とはなりません。虫歯になれば、バイ菌で汚染された部分を取り除き、その部分に歯に代わる材料を詰めて歯の形状に戻し、噛めるようにします。これは、元どおりに戻している訳ではなく、修復している、修理しているということです。
車や家電製品を思い描いてください。故障したら、すぐ修理できるときもあれば、時間がかかるときもあると思います。歯も、虫歯が小さければ1回で終わります。大きくて神経まで到達している場合は、被せるまでに7~10回ぐらいはかかります。
故障した車や家電製品が何台も何個もあれば、修理の期間はかかります。みなさまが歯科医院に来られるとき、だいたい、虫歯は8本ぐらいあるのです。
虫歯は、痛くない病気です!
多くの方は「虫歯は痛い病気」と勘違いされています。神経まで虫歯が到達したら初めて症状が出てきます。つまり、痛みが出たときは手遅れなのです!痛くないときに来れば短期間で終わりますが、痛いときに来れば長期間かかります。
さらに『歯は、治療すればするほど虫歯になりやすくなります!』。キレイな歯と詰め物や被せ物が入っている歯とを比べた場合、圧倒的に後者の方が虫歯になりやすいのです。お口の中は、常にバイ菌との戦いです。これは、詰め物や被せ物と歯との境目にバイ菌が付きやすいからです。
治療すればするほど、歯磨きのテクニックは向上させないといけない!
虫歯になって治療するほど虫歯にはなりやすくなります。そもそも歯磨きのテクニックが劣っていたので虫歯になったわけで、再び虫歯にさせたくないのであれば、歯磨きのテクニックを向上させるしかありません。
ですから、虫歯治療を早くすることよりも、歯磨きのテクニックを向上させる方が先なのです。大事なのです。
今までの考え方を変えて、痛くないときに虫歯がないかチェックしてもらいに定期検診を受け、歯磨きのテクニックの向上を目指す努力をされる方でないと、もうどの歯科医院に行かれても満足はできないでしょう。
もう既に時代は変わっています
かつて、北里柴三郎は「医者の使命は、病気を予防することにある」と語ったそうです。
常に予防をしてもらい、私たちは予防のお手伝いをする
それでも虫歯や歯周病になればきちんと治療する
あなたと私たちは、パートナーなのです。